シニフィアンになじむ

良い按配を追求します

「所有者のない不動産は国庫に帰属する」のになぜ空き家空き地問題がここまで深刻化するのか

f:id:NRT_Nn:20171111110049j:plain

 おはようございます。

建築系の学生でなくても現在の日本で空き家・空き地問題が深刻化しているという事実は多くの方が知っていると思うし、知らないのであれば知っておいたほうが何かと良いと思うので最初に記しておきます。(社会の構造的な課題は国民の理解がなければにっちもさっちも行かない場合がほとんど)

 

履修している講義でこのような問題について考える機会があったので覚書も兼ねて書いていきます。現代社会の未解決問題なので、ぜひ頭のすみっこに入れておいてみてください。

 

以下の内容は吉原祥子著『人口減少時代の土地問題』および大学院の同期が作成した授業での発表PPTをめいいっぱい参考にしています。

 

活用したいけど、土地の所有者がわからない

空き家・空き地問題が発生する大きな要因の1つに「土地所有者がわからない」というものがあります。誰の土地かわからないので、国も個人もその土地を活用できなくなってしまい、結果、その場所が空き家・空き地になってしまいます。

 

わからないんだけど、一見誰も使ってなさそうに見えても(おそらくは)どこかの誰かの財産であるわけだから、他人が勝手に活用するわけにはいきません

 

その土地を使うには、不動産登記簿上の全相続人を特定し、同意を得なければなりません。これは、非常に難しいです。役所に行って分厚い紙束をめくれば解決~というわけにはいかず、以下のような複雑な事情が渦を巻いています。

 

 

特に困ることもないので、相続の登記を済ませていない

んです。

「今まで、この土地は○○のモノだったけど、色んな理由で××のモノになります~」ということを正式に完了させる儀式を、済ませていないということが増えています。

 

いわゆる、相続未登記問題です。

相続の登記をきちんと済ませていないので、土地を活用しようとして不動産登記簿を調べたところで、全ての相続人を特定することができなくなっています。もちろん、そのような土地は活用できません。

 

大切な財産なのに、相続の登記を済ませないなんて横着だなぁって思いますよね。でも、別にいいんです。相続登記は別にしなくてもいいよ、と、そういう決まりになっています。

 

相続登記は義務ではなく「任意」である

 相続登記は義務ではありません

そうすると、当然登記を済ませない人も出てきます。

 

だって、メンドウだし、普通に生活してたら何も困らないし、諸手続きにお金もかかるから。

最近は、とくに地方や森林農地などでは地価が下がる傾向にありますから、手続きのコストが資産価値を上回り、損をしてしまうなんてことがあるみたいです。

 

今どき、登記をちゃんと済ませるのは、土地を売ることになったり、土地に抵当権を設定することになったときくらいでしょうか。もちろん単純にしっかり者で登記を済ませる人もいるとは思いますが...

 

そもそも、そんなこと知らない

所有者不明化という問題は、目に見えにくい。だから、問題の共有もできない。個人の(しかも莫大な)財産であるため、行政も足踏みしている。

 

そもそも、義務教育では教わらないし、高等教育機関でも、法学とかの分野じゃないとなかなか知る機会がないし、この問題の存在すらも知らないんじゃないかと思います。(僕も、相続っていうものがあるな~ってことは民法を少し齧ったことがあるので知っていましたが、このような問題はあまり知りませんでした)

 

知らないなら相続登記が済んでいなくたって、仕方ないよね(よくない)

 

じゃあ、相続登記を義務化すればいいじゃないか

 という声が挙がるのが当然の流れですが、現状、そうなっていないのにはそれなりの理由があるっぽいです。

 

まず、法改正が容易ではない

ということくらいは中学公民か何かで習ったような気がしますが、

この登記、不動産登記法民法の手続法で、権利の登記は第三者対抗の為にあると言ってしまっていいでしょう。(詳しくないのでダメだったら教えてください。)そして、相続は所有者の死亡によって発生するため、登記を申請しなくても自己の所有権が失われることはありません。

 

つまり、その大変さと比べて、登記を行うインセンティブが極めて低い

こうなると実現は法改正は難しくなります。

 

そして、改正したところで実効性はあるのか?

どうにかこうにかして、相続登記が義務化しました。

これで、全国民が登記を済ませ、全国の土地の所有者が明らかになり、

無主の不動産が洗い出され、万事解決!と、なるでしょうか?

う~ん......

 

 

「所有者のない不動産は国庫に帰属する」のになんで深刻化したのか

民法によると、所有者のない不動産は国庫に帰属する、とあるのに

なぜここまでめちゃくちゃになってしまったのか。

 

どうやら、「 相続の放棄 → 国のものに 」という単純なものではないそうです。

「国庫に帰属」させるには、以下のような手続きが必要とされています。

 

相続財産管理制度による手続きが必要である。これは、利害関係者が裁判所に対して相続財産管理人の選任の申し立てを行う。選ばれた相続財産管理人は、財産を売却し、債務などを清算したうえで、換価金の残額を国庫に納付するという手続きである。(吉原祥子『人口減少時代の土地問題』.中公新書 より)

 

 

つまり、こうした手続き(利害関係者から相続財産管理人の申し立て)がされなければ、その土地は、だれも扱わないんだけど、だれも扱うこともできない、ぽっかりと空いてしまっているだけの土地になってしまうということです。

 

そして、そんな土地が急増しているということです。

 

 

なかなか見つからない解決の糸口

と、いうわけで次回の大学院の講義でワークショップを行い、

案を出し合うということをするそうです。

 

なんとなく、専門である建築基準法都市計画法の内だけでは、かなり難しいな~って思っているけど......どうしよっかな

 

もう、書けることがあまりないのでここで終わりにします。

最後まで読んでくださりありがとうございました。また何か書きます

 

↓ 記事を書く前に書いたメモです

f:id:NRT_Nn:20171111104856j:plain

 

広告を非表示にする