シニフィアンになじむ

良い按配を追求します / 全部ポエムです

写ルンですと手描きの地図だけを持って栃木県壬生町へ行った話

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@KanadeYumeno「大自然に行きたい」
@NRT_Nn(僕)    「行くか~」

 話のわかる友人と、

写ルンです」と「手書きの地図」と「お金」

だけを持って、日帰り旅行に行ってきました。
 
場所は栃木県下都賀郡壬生町(みぶまち)。
 
とても楽しかったので、記録に書いておきます。
 なんと8月の話です。#平成最後の夏 はとっくに終わってますよ...。
 

今回の旅行のルール

まず栃木駅へ行き、そこで「写ルンです・手書きの地図・お金」以外の全ての持ち物をロッカーに預けて、壬生町を歩く。
 
スマートフォンや一眼レフ、デジタルカメラも全てロッカーに預けました。(ついでに、2人とも腕時計をつけてくるのを素で忘れていた。)
 
現在地も時間も、デジタルなものに頼れない状況です。栃木駅に来るまでに電車の中で書いた手書きの地図と、太陽の位置を頼りにしました。
 

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栃木駅に向かう電車の中で描いたガバガバ地図。
 

 スマホを失ったときのTweet

 

  

栃木県壬生町を選んだ理由

いつの間にか手回しの良い@KanadeYumeno君が、「自然豊かな場所に行きたい」という信念のもと、栃木県出身の大学の先輩に話をつけ、その地域の写真などを入手し、僕に提案してきてくれました。
 
その先輩は僕も(というか僕が)大変お世話になった先輩であり、さらに壬生はその先輩の卒業制作の対象敷地であったため、俄然興味が湧き、二つ返事で行くことにしました。
 
ちなみに、@KanadeYumeno君が先輩から入手した写真、および先輩の卒業制作のシートに載っていた風景の地点は、今回の旅の要点とすることにしました。
 

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貰っていた写真
 

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これも、貰っていた写真。いいですね
 
事前に「地図でだいたいこの辺」と、Googleマップにピンを打ってもらってはいたものの、実際に歩く時には手書きの地図にしか頼れなかったため、これがかなりの難易度に...。
 
 
 
 

壬生町について

栃木県で、宇都宮市の南西あたり

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人口約4万人、面積約61km2、人口密度約650人/km2
かつておもちゃ工場を誘致して栄え、それに因んだ「おもちゃのまち」という名のついた駅もありました。個人的に、町名を甲乙丙丁で分けているところがあるのがお気に入り。
 
 

壬生町散歩

国谷駅で降りて壬生町散歩スタート

前置きが長くなりましたが、ようやく始まりです。持ち物は、「写ルンです、手描きの地図、お金」のみ。極めて身軽。天気良し。最高です。
 
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国谷駅の写真です。
アニメや漫画で“懐かしいとはこういうものだ”ということを学習してしまっているからでしょうか。初めて来るのに懐かしい感覚です。[東武国谷駅]の看板だけが不自然に新しく、浮いていたのが印象的です。
 
 
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 おそらく近年にタッチパネル対応した券売機の他に、電光掲示板などはなく、所狭しと印刷された情報が貼り尽くされていました。情報の多さゆえにごちゃごちゃした印象は受けるものの、よく見るとかなり整頓されていることがわかります。
 
 

求めていた景色

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手描きの地図と太陽の位置を頼りに歩きます。この写真の場所では友人と「こういう景色が見たかった!」と大はしゃぎして、しばらく立ち止まって眺めていたことを覚えています。
 
とちぎわんぱく公園(壬生町総合公園)

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国谷駅から北西に歩き続け、とちぎわんぱく公園(壬生町総合公園)に到着しました。40ha弱もある大きな公園です。公園内には「壬生町おもちゃ博物館」もあり、そこでアイスを買って小休憩をとりました。
 

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木陰で寝転ぶ。良くも悪くもほとんど人がいないので非常に広々としています。
 
 

卒制シートの風景を目指して

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敷地内を練り歩き、公園から出て、西へ進みます。
道の駅みぶ、国谷新田交差点、福和田交差点を通り、利根川水系思川の支流、「黒川」に架かる橋にたどり着きます。
 
ここから、目標にしていた地点を目指します。
目標、とは言っても、その目標の場所がわからないのでここから数時間同じ場所をぐるぐると練り歩くことになります。
 

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結果から言えば目標地点には辿り着いていたものの、「本当にここでいいのか?」という疑念を晴らすことができず、「もう少し歩いて確かめてみよう」という判断を下し、ツラい思いをしました。
 
なぜ「本当にここでいいのか?」という疑念を抱いたかというと、僕たちは「小さな青い小屋」を目印にしていて、そしてその「小さな青い小屋」は周囲にたくさんあったからです。
 
本当にこの小さな青い小屋が、僕たちが目標としていた小屋(のある風景)なのか。確信を得るために、広大な田畑の細道を練り歩きました。幸せの青い小屋は、すぐ傍にあったのに...。
 

f:id:NRT_Nn:20181221170154j:plainここが目指していた風景。

 

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歩き回りました。暑かったです。
 
 

高尾神社

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歩いている最中に高尾神社というところを見つけたので、入ってみました。そして、何を思ったか「この森(森?)の奥に進もう!」と意気込み、道なき道を進んでみました。
 
好奇心により楽しかったのも束の間、真夏の8月初頭、かなり木々が生い茂っており、腰辺りまで伸びた湿っぽい植物や細く尖った低木の小枝、主不在の蜘蛛の巣、飛び交う羽虫、踏み固められていない柔らかすぎる地面は、僕たちの精神を弱らせるのに十分すぎるものでした。
 
ぐるりと外周をなぞるように引き返し、見覚えのある道路を見るや否や、1.5m強の高さから飛び降りることで、無事に脱出することができました。この歳になると、1mを超える高さから飛び降りるのも貴重な体験です。小枝から脚に切り傷をたくさんつけられることも。
 
 

黒川

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歩き疲れ、日も落ちはじめた頃に、なんとなく川に入ることにしました。黒川です。楽しかったです。夏でした。靴がびしょびしょになりましたが構いません。それを咎める人はいませんので。
 
黒川の水、瓶に詰めて持って帰りました。今も家にあります。
 

目標の橋を探す

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こんなに遠回りすることある??
完全に道に迷ってしまい、川で釣りをしていた方にここがどこであるかを尋ねることにしました。どうやら自分らが見当違いの道を歩いてしまっていたことを知り、半ば絶望し、半ばなんとか正しい道に戻れそうなことに安堵しました。
 
その方に「これ俺のトラックだから乗せて行ってあげようか」と言ってもらえましたが、今回は歩くことに重きを置いていたため、遠慮させていただきました。優しい世界。空と地面は遠く、人と人は近く。
 
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あった〜╰( 'ω' )╯
 

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美しすぎる~~~
 

第三ポイントを諦め、東武金崎駅

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貰っていた写真。本当はここにも行きたかったんですけど、終電まで時間がなかったので東武金崎駅を目指して歩き始めました。なによりあたりが暗くなり始め、さらに街灯がほぼないので本物の闇の中を歩いており、いろいろと参っていました。

 

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このとき19時くらい。方向も現在地もよくわからないまま真っ暗な田圃道を往く。ついでにめちゃくちゃ喉が乾いていて、小銭を握りしめてはいたものの、自販機がない。本当にない。「金を使わせてくれ~!」って泣いてた。この日の栃木の最高気温は35℃弱。流石に昼間よりマシにはなったけど蒸し暑い。川は?入れない。妙に落差がすごい。

 

農家の方の利便の為か、川に木の板が掛かっている。壬生町の子供の間では、これに乗って度胸試しをする遊びがあるらしい。僕も友人も乗ってみたけど、ところどころ朽ちているので普通に危ない。この遊び、成人男性もやっていいんですか?*1

 

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スマホのライト以外に、光が一切無いのがおわかりいただけるだろうか。完全な闇。#000000。

 

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そして様々な紆余曲折を経て*2東武金崎駅に着きました。もう暗すぎて何が写っているのかわからない。

 

 

壬生町散歩終了。栃木駅に戻る

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戻ってきた~。通行人に写真をお願いして記念写真。駅のコンビニでレモン牛乳買いました。そしてロッカーでスマホやその他の荷物を回収。インターネット最高!

 

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パン

 

感想

僕は普段、旅行するときは必ずスマホや一眼レフを持っていきます。便利ですし、写真を撮ることが好きだからです。今回、そういった物を排して、ほとんど我が身ひとつで歩き回ってみて、「あ~、Googleマップ欲しいな」「この景色は三脚立てて広角レンズで撮りたかったな」って思いました。ただ、それとは別に楽しいな、とも思いました。不便であることが退屈であるとは限らない。それにこう、今こうやって振り返ってみると「あれ?めちゃくちゃ良い思い出じゃん...。」って気が*3

 

旅行では、できる限り歩いて移動したいな、と思いました。飛行機よりも電車、電車よりもバス、バスよりも自転車、自転車よりも徒歩で。できるだけゆっくり。できるだけ地面に近い方法で。その土地そのものを一番味わえるのは、人間のままのスケールでいるときだと思った。もし車に乗っていたら、あの日の暑さや土の柔らかさ、川の音や夜道の暗さに気付けただろうか。

 

でもやっぱり、時間がかかった。本当はもっといろいろなところを見たかった。

 

また行きたいです。

今度はスマホと一眼レフを持って!

*1:農家の方もきっと成人です

*2:ずっと道に迷ってました

*3:認知的不協和・・・ではなく、本当に良い思い出です