シニフィアンになじむ

良い按配を追求します / 全部ポエムです

お前には罰として大きな岩を山頂まで運んでもらう

山の麓から大きな岩を持ち上げ、山頂へ向かう。
 
この行為にどんな意味があるのかよく分からないが、これは神様を怒らせてしまった罰であり、言われるがままに運んでいる。
 
それでもいいかと思っている。
頂上まで辿り着けば “赦し” をもらえる。
 
何日もかかった。あと少しで頂上に達する。
ボロボロになった身体に鞭を打ち、最後の力を振り絞り、山の頂に大きな岩を置いた。
 
大きな岩は山頂に達した。
 
直後!その岩は斜面を転がり落ち、再び山の麓へ戻ってしまった!
 
私は転がり落ちる岩を、泣くことも、喚くこともせず、ただただ冷ややかな目で眺めていた。
 
しばらくして事態を受け止めた私は、山を降り、もう一度大きな岩を担いでいた。

 

 そうこうしているうちに年月が経ち、岩を運ぶ必要はなくなった!やったぜ
 
代わりに、労働というものをしている。
 
この行為にどんな意味があるのかよく分からないが、これは上司から頼まれた作業であり、言われるがままに手を動かしている。
 
それでもいいかと思っている。
月末まで耐えきれば “給料” をもらえる。
 
1ヶ月かかった。後もう少しで給料日が来る。
ボロボロになった精神に鞭を打ち、最後の力を振り絞り、帰りの満員電車に乗った。
 
給料が振り込まれた。
 
直後!その給料はクレジットカード会社に引き落とされ、再び値が0に戻ってしまった!
 
私は空になった預金残高を、泣くことも、喚くこともせず、ただただ冷ややかな目で眺めていた。
 
しばらくして事態を受け止めた私は、山手線に乗り、もう一度大量の作業を抱えていた。*1*2

*1:このお話はフィクションです。

*2:というか、ギリシャ神話『シーシュポスの岩』です