そのデザインは自己顕示で終わっていないか?(『誰のためのデザイン?』を読む)
2019年4月から運良く広義のデザイン系の職に就くことができ、大学院のときには忘れかけていたクリエイティブな人物への憧れみたいなものが少しずつ再燃してきています。
仕事をしているとソフトの使い分けやショートカットキーの活用などが成果物に直結するので4月はそういう勉強ばかりしていましたが、ものを作るときにはそれ以前に思想や哲学を大切にしたいものです。
大学時代に所属していた研究室の教授から「デザインをする人間は絶対に読んでおいたほうがいい」*1と紹介された本がD.A.ノーマンの『誰のためのデザイン?』です。再読しました。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D. A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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なぜ読もうと思ったか
・新人として再スタートするので、ハチマキを締め直すつもりで
・デザインがただの自己顕示にならないように
・とにかくいろんな場所でおすすめされている本だから
読んでみて何が良かったか
・「デザインの役割」を再確認できる
大学入りたての頃なんかは「デザイン=見た目、格好良さ、洒落さ」だったけど、それはデザインのもつ一面に過ぎないですね。デザインによって、抱えている問題を解決させたり、何か目的を達成させることが大切なんだと、繰り返し書かれています。
・世の中に既にある「良いデザイン」に気付き、感動できる
物を見る目が変わります。デザインの意図に気付けると(仮にそれが意図していないものだったり、間違っていたとしても)けっこう感動します。何かを理解したり、こういう事なんじゃないか、って考察できることは楽しい。
・優しい気持ちになれる
タイトルにもあるように「誰のため」を常に考えるので、優しい気持ちになれます。多様性ってこういうところからですね。優しさの時代、くるよ
・良くないものも「どうしてそうなったのか」という視点で見られる
物事に対して批難だけして「反論がないなら俺の勝ちだが?」みたいな態度はかなり良くないと思っていて、じゃあどうすれば改善するのかっていうのを提案できるのが1番良いと思う。でもこれって意外と難しい。そんなときにはせめて、「あ~あれはクソデザインだけど、きっとこんな事情があってああなったんだな...」みたいな納得ができれば、穏やかになれる。人間だったら考えて
次に読みたくなったもの
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,Donald A. Norman,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,上野晶子
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2004/10/15
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スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。?未来を思索するためにデザインができること
- 作者: アンソニー・ダン,フィオーナ・レイビー,久保田晃弘,千葉敏生
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
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未来を築くデザインの思想-ポスト人間中心デザインへ向けて読むべき24のテキスト
- 作者: ヘレン・アームストロング,久保田晃弘(監訳),村上彩
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2016/10/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読みたい、というかもう読んでいます。
そのうちきっとブログにまとめますね。
断片的メモ
分厚い本なので、数回に分けて投稿しようと思います。
今回は、とりあえず「いいぞ」って事が伝わるといいかな。
本は分厚くてなかなか読もうという気が起きないかもしれないけど、文章はとてもわかりやすく、実例なんかも交えて書いてあるのでとても読みやすいです。
また続きを書いたらこの記事にもリンクを貼っておきます。
それでは。
*1:実際にはもう少し強めに「うちの研究室に所属する人間は絶対に読んでおいてくれ」と言われた